
第12回目の対策講座の今回は、
【特殊引火物】(分類:性質 #3)
の説明をしていきますので、よろしくお願いします。
危険物取扱者試験 乙4種対策講座用INDEX
目次
特殊引火物の性質
消防法上の特殊引火物とは、1気圧において発火点が100℃以下のもの、引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下のものを指します。特殊引火物に共通する性質は下記になります。
①引火点が低く、燃焼範囲が広い
②常温(20℃)で引火の危険性がある
③沸点が低く、揮発しやすい
④指定数量は50リットルである。
発火点が最も低い『二硫化炭素』、沸点が最も低い『アセトアルデヒド』、引火点が最も低い『ジエチルエーテル』は、特に出題されやすい物質です。
ジエチルエーテル
化学式:C2H5OC2H5
エチルエーテルや硫酸エーテルとも言われ、エーテルというときは、このジエチルテーテルを指すことが多い。
<特性>
・無職透明な液体で、特有特有の甘い刺激性の臭いがある。
・沸点が低いため、揮発しやすく、その蒸気には麻酔性がある。
・水にはほとんど溶けない非水溶性液体だが、アルコールには良く溶ける。
<性質>
・引火点が第4類危険物の中で一番低い (-45℃)
・水より軽く、液比重が第4類危険物の中で最も小さい (0.71)
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲(%) | 蒸気比重 |
-45 | 34.6 | 160 | 0.71 | -116 | 1.9~48 | 2.6 |
<火災の予防方法>
・火気を近づけない
・貯蔵、取扱場所では通風をよくすること
・直射日光は避けて、冷暗所で貯蔵すること
・容器は密封すること
※空気と長く接触したり、日光にさらされると過酸化物が発生し、加熱や衝撃、摩擦熱等により爆発する可能性がある。
<消火の方法>
耐アルコール泡、二酸化炭素、ハロゲン化物消火剤などによる窒息消火が適している。
二硫化炭素
化学式:CS2
溶剤や殺虫剤、ゴムの加硫、他の化学物質を作るための原料などとして用いられており、また溶剤として優れており有機化合物のほか、硫黄や黄りんも溶かすことができる。
<特性>
・無職の液体で、特有の不快臭がある。
・沸点が低いため、揮発しやすく、その蒸気(二酸化硫黄)は有毒である。
・水に溶けない非水溶性液体だが、アルコール、ジエチルエーテルには良く溶ける。
<性質>
・引火点が低く(-30℃以下)で、発火点が第4類危険物の中で一番低い(90℃)ため、引火に注意が必要
※発火点が100℃以下は、二硫化炭素のみである
・水より重く、液比重が第4類危険物の中で最も大きい (1.3)
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲(%) | 蒸気比重 |
-30以下 | 46.3 | 90 | 1.26 | -112 | 1.3~50 | 2.6 |
<火災の予防方法>
・火気を近づけない
・貯蔵、取扱場所では通風・換気をよくすること
・直射日光は避けて、冷暗所で貯蔵すること
・水に溶けず、また水より重いため、水をはった容器や水没させたタンクなどに貯蔵して、蒸気の発生を抑制する
<消火の方法>
・耐アルコール泡、二酸化炭素、ハロゲン化物消火剤による窒息消火。
・水封(水を張ること)による窒息消火。
・水による冷却消火。
アセトアルデヒド
化学式:CH3CHO
酢酸、合成樹脂、合成ゴム、染料等の原料となる。
<特性>
・無色の液体で、刺激臭がある。
・沸点が極めて低いため、揮発しやすく、その蒸気は有毒である。
・水、アルコール、ジエチルエーテルなどの有機溶剤によく溶ける水溶性液体である。
・熱または光で分解し、メタンと一酸化炭素になる。
<性質>
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲(%) | 蒸気比重 |
-39 | 20.2 | 175 | 0.8 | -123 | 4.0~60 | 1.5 |
<火災の予防方法>
・引火点が低い(-30℃以下)ので、特に火気に注意が必要。
・貯蔵、取扱場所では通風・換気をよくすること。
・直射日光は避けて、冷暗所で貯蔵すること。
・容器に充填したときは、密封すること。
<消火の方法>
・耐アルコール泡、二酸化炭素、ハロゲン化物消火剤による窒息消火。
※水溶性であるため、通常の泡消火剤では消泡するので効果がありません。→水溶性液体泡消火剤を用いること。
酸化プロピレン
化学式:CH2OCHCH3
界面活性剤、溶剤、医薬品、顔料等に用いられる。
<特性>
・無色の液体で、エーテル臭がある。
・蒸気には刺激性はないが、吸入すると有毒である。
・沸点と引火点が低いため、引火しやく危険である。
・水、アルコール、ジエチルエーテルなどの有機溶剤によく溶ける水溶性液体である。
・銀や銅などの金属により重合が促進されやすい。
※重合とは、簡単な構造をもつ分子化合物が二分子以上結合して分子量の大きな別の化合物を生成する反応。重合により生じた化合物は、重合体(ポリマー)と呼ばれ、重合する以前の元の分子化合物は単量体(モノマー)と呼ばれる。
<性質>
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲(%) | 蒸気比重 |
-37 | 33.9 | 465 | 0.83 | -104 | 2.8~37 | 2.0 |
<火災の予防方法>
・引火点が低い(-30℃以下)ので、火気に注意が必要。
・貯蔵、取扱場所では通風・換気をよくすること。
・直射日光は避けて、冷暗所で貯蔵すること。
・容器に充填したときは、密封すること。
<消火の方法>
・耐アルコール泡、二酸化炭素、ハロゲン化物消火剤による窒息消火。
※水溶性であるため、通常の泡消火剤では消泡するので効果がありません。→水溶性液体泡消火剤を用いること。

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