
第13回目の対策講座の今回は、
【第一石油類】(分類:性質 #4)
の説明をしていきますので、よろしくお願いします。
危険物取扱者試験 乙4種対策講座用INDEX
目次
第1石油類の性質
消防法上の第1石油類とは、1気圧において引火点が-21℃未満のものを指します。第1~第4石油類の中で最も引火点が低い危険物です。
①指定数量:非水溶性→200ℓ 水溶性→400ℓ
②常温(20℃)で引火の危険性があるものが多い。
③有機溶剤に溶けるものが多い。
④特有の臭いを持つものが多い。
⑤非水溶性液体は静電気を蓄積しやすい。
⑥蒸気は空気の3~4倍と重く、低所に対流しやすい。
生活に身近な非水溶性の『ガソリン』と、水溶性の『アセトン』は特に出題されやすい物質です。
ガソリン
化学式:炭化水素化合物(下例)の混合体なので特定の化学式はない。炭素数は4~12程度である。
●ブタン C4H10
●ペンタン C5H12
●ヘキサン C6H14
●ヘプタン C7H16
●オクタン C8H18
●ノナン C9H20
●デカン C10H22
●ウンデカン C11H24
●ドデカン C12H26
<特性>
〇自動車ガソリン(オレンジ色に着色)、航空ガソリン(赤、または青色に着色)、エ業ガソリン(無色)に大別される。
※自動車ガソリンは、灯油や軽油との識別を容易にするためオレンジ色に着色してある。
〇水より軽く、また水に溶けない(非水溶性)。
〇蒸気は空気の3~4倍重いので、低所に滞留しやすい。
〇炭化水素の混合物。
〇石油製品は非水溶性液体なので、静電気が発生しやすい。
〇燃焼範囲はそれほど広くないが、下限値が低いため、少量の蒸気でも引火する可能性がある。
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲vol(%) | 蒸気比重 |
-40℃以下 | 40~220℃ | 300℃ | 0.65~0.75 | -90.5℃ | 1.4~7.6 | 3~4 |
<火災の予防方法>
〇火気や火花に近づけない
〇火花を発生する機器を使用しない
〇蒸気比重が大きい(低所に滞留しやすい)ため、通気・換気を良くする。
〇容器は密閉して冷所に貯蔵する。
〇静電気の蓄積しにくい器具を使用する。
※ガソリンの蒸気が残存するタンクに灯油や軽油を入れると、発生する静電気により引火する可能性があるために注意が必要である。
<消火方法>
〇窒息消火(粉末消火剤、二酸化炭素、泡消火剤)
ベンゼン(ベンゾール)
化学式:C6H6
<特性>
〇芳香族炭化水素で無色透明の液体。芳香性の臭気がある。
〇水に溶けないが、アルコールやジエチルエーテル等の有機溶剤によく溶ける。
〇揮発性があり、蒸気は有毒である。
〇加熱や衝撃により爆発する可能性がある。
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 液比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲(vol%) | 蒸気比重 |
-11℃ | 80℃ | 498℃ | 0.88 | 5.5℃ | 1.2~7.8 | 2.8 |
<火災の予防方法>
〇火気や火花に近づけない。
〇火花を発生する機器を使用しない。
〇蒸気比重が大きい(低所に滞留しやすい)ため、通気・換気を良くする。
〇容器は密閉して冷所に貯蔵する。
〇静電気の蓄積しにくい器具を使用する。
<消火の方法>
〇窒息消火(水溶性液体用泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素)
トルエン(トルオール)
化学式:C6H5CH3
<特性>
〇無色の液体(特異的な臭気:芳香臭)
〇蒸気に毒性があるが、ベンゼンよりも毒性よりは小さい。
〇水に溶けないが、アルコールやジエチルエーテル等の有機溶剤によく溶ける。
〇強酸化剤と激しく反応し、火災や爆発の危険性がある。
〇揮発性がある。
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲(vol%) | 蒸気比重 |
4℃ | 111℃ | 480℃ | 0.87 | -95℃ | 1.1~7.1 | 3.1 |
<火災の予防方法>
〇火気や火花に近づけない。
〇火花を発生する機器を使用しない。
〇蒸気比重が大きい(低所に滞留しやすい)ため、通気・換気を良くする。
〇容器は密閉して冷所に貯蔵する。
〇静電気の蓄積しにくい器具を使用する。
<消火の方法>
〇窒息消火(水溶性液体用泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素)
メチルエチルケトン(MEK)
化学式:CH3COC2H5
<特性>
〇通気口付きの貯厳容器には収納できない。
〇水にわずかに溶け、アルコール、ジエチルエーテル等の有機溶媒にはよく溶ける。
〇無色の液体(特異的な臭気:芳香臭)
〇酸化剤と激しく反応して発火する(酸化剤と反応して爆発性過酸化物を生成する)
〇塩基、酸と反応する。
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲(vol%) | 蒸気比重 |
-9℃ | 80℃ | 404℃ | 0.8 | -86℃ | 1.4~11.4 | 2.4 |
<火災の予防方法>
〇火気や火花に近づけない。
〇火花を発生する機器を使用しない。
〇蒸気比重が大きい(低所に滞留しやすい)ため、通気・換気を良くする。
〇容器は密閉して冷所に貯蔵する。
〇静電気の蓄積しにくい器具を使用する。
<消火の方法>
〇窒息消火(水溶性液体用泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素)
アセトン(ジメチルケトン)
化学式:CH3CO-H3
<特性>
〇無色透明の液体で、特有の臭気がある。
〇水に溶ける(水溶性)ほか、アルコール、ジエチルエーテル等の有機溶剤にもよく溶ける。
〇揮発しやすい。
〇日光や空気にさらされると、過酸化物質を生成し爆発する可能性がある。
〇アセトンの入っている容器は-15~-9℃で爆発混合気体を生成する
※強酸化剤(無水クロム酸、過塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、過酸化水素、硝酸、硝酸アンモニウム)と激しく反応し、火災・爆発の危険性をもたらす。
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲(vol%) | 蒸気比重 |
-20℃ | 56℃ | 465℃ | 0.8 | -95℃ | 2.2~13.0 | 2.0 |
<火災の予防方法>
〇火気や火花に近づけない。
〇火花を発生する機器を使用しない。
〇蒸気比重が大きい(低所に滞留しやすい)ため、通気・換気を良くする。
〇容器は密封し、風通しの良い冷暗所に貯蔵する。
<消火の方法>
〇窒息消火(粉末消火剤、二酸化炭素、水溶性液体用泡消火剤)

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