
第25回目の対策講座の今回は、
【第3石油類】(分類:性質 #7)
の説明をしていきますので、よろしくお願いします。
危険物取扱者試験 乙4種対策講座用INDEX
《危険物乙4種 今日のチャレンジ問題》
今回の講座の範囲に捕らわれず、試験に出そうな問題を1題出題します(^o^)
少しずつ問題に慣れていきましょう!
Q.定期点検のうち、規則で定める漏れの点検の対象となっている施設は、次のうちいくつあるか?
1. 製造所の地下(貯蔵)タンク
2. 給油取扱所の地下(貯蔵)タンク
3. 地下タンク貯蔵所の地下(貯蔵)タンク
4. 移動タンク貯蔵所の移動(貯蔵)タンク
5. 屋内タンク貯蔵所の屋内(貯蔵)タンク
目次
第3石油類の性質
①指定数量:非水溶性→2000ℓ 水溶性→4000ℓ
②1気圧において引火点が70℃以上200℃未満のものをいう。(※可燃性液体量が40%以下は除く)
③発火点は250℃以上。加熱しない限り引火の可能性はない。
石油類の引火点
第1石油類 ⇨ 1気圧において引火点が21℃未満のもの。
第2石油類 ⇨ 1気圧において引火点が21℃以上70℃未満のもの。
第3石油類 ⇨ 1気圧において引火点が70℃以上200℃未満のもの。☜コレ!!
第4石油類 ⇨ 1気圧において引火点が200℃以上250℃未満のもの。
第3石油類の主な非水溶性液体

重油
化学式:混合物なのでなし!
※非水溶性
沸点が300℃以上の原油留分のことを指す。
<特性>
〇褐色、または暗褐色で、臭気がある。
〇水より軽い⇦重油だから水より軽いと勘違いしないように!!!
〇引火点が高いので、引火の危険性が低い。
〇霧状になって浮遊したり布に染み込んだ場合は空気との接触面積が大きくなるため引火点以下でも引火する危険性有。
〇粘性があり、粘土によって3つに分けられる
・1種(A重油):引火点が60℃以上(サラサラの液体)
・2種(B重油):引火点が60℃以上(A重油とC重油の中間的な性質)
・3種(C重油):引火点が70℃以上(不純物の多いドロドロの液体)
〇不純物として硫黄が含まれており、燃焼すると有毒な亜硫酸ガス(二酸化硫黄)は発生する。
〇燃焼温度が高いため、消火が困難である。
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲vol(%) | 蒸気比重 |
60~150℃ | 300℃以上 | 250~380℃ | 0.9~1.0 | - | - | - |
<火災の予防方法>
〇蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
〇分解重油の場合は、自然発火しないように注意する。
〇容器は密封して保存する。
〇火気を避け、加熱、加温を避ける。
<消火の方法>
〇泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物による窒息消火を行う。
メモ
重油は水より『軽い』ことは覚えておこう!!
クレオソート油 (石炭クレオソート、工業用クレオソート)
化学式:混合物なのでなし!
※非水溶性
コールタールを分留で沸点230~270℃にしたときに得られる留出物である。木材用の防腐剤等に使用される。
<特性>
〇黄色、暗緑色で、臭気があり、有毒な蒸気が発生する。
〇引火点が高いので、引火の可能性は低い。
〇水には溶けないが、アルコール、ベンゼンなどの有機溶剤にはよく溶ける。
〇加熱しない限り引火する危険性は低いが、霧状のものは引火点以下でも引火する危険性がある。
〇発熱量が多いため、消火が困難である。
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲vol(%) | 蒸気比重 |
74℃ | 200℃以上 | 336℃ | 1.0以上 | - | - | - |
<火災の予防方法>
〇蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
〇容器は密封して保存する。
〇火気を避け、加熱、加温を避ける。
<消火の方法>
〇泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物による窒息消火を行う。
アニリン
化学式:C6H5NH2
※非水溶性
<特性>
〇色は無色または淡黄色、特異臭があり、有毒な蒸気が発生する。
〇引火点が高いので、引火の可能性は低い。
〇光または空気の作用により褐色となる。
〇水には溶けにくいが、エタノール、ジエチルエーテル、ベンゼンなどの有機溶剤にはよく溶ける。
〇加熱しない限り引火する危険性は低いが、霧状のものは引火点以下でも引火する危険性がある。
〇発熱量が多いため、消火が困難である。
〇塩基性を示す。
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲vol(%) | 蒸気比重 |
70℃ | 185℃ | 615℃ | 1.01 | -45℃ | 1.2~11.0 vol % | 3.2 |
<火災の予防方法>
〇蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
〇容器は密封して保存する。
〇火気を避け、加熱、加温を避ける。
<消火の方法>
〇泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物による窒息消火を行う。
ニトロベンゼン(ニトロベンゾール)
化学式:C6H5NO2
※非水溶性
<特性>
〇淡黄色または暗黄色、芳香臭があり、有毒な蒸気が発生する。
〇引火点が高いので、引火の可能性は低い。
〇還元するとアニリンになる。
〇加熱しない限り引火する危険性は低いが、霧状のものは引火点以下でも引火する危険性がある。
〇水には溶けないが、エタノール、ジエチルエーテルなどの有機溶剤にはよく溶ける。
※第5類のニトロ化合物ほどの危険性や爆発性はないが、引火性があるため第4類の危険物である。
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲vol(%) | 蒸気比重 |
88℃ | 211℃ | 482℃ | 1.2 | 5.8℃ | 1.8~40 vol | 4.3 |
<火災の予防方法>
〇蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
〇火気を避け、加熱、加温を避ける。
<消火の方法>
〇泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物による窒息消火を行う。
第3石油類の主な水溶性液体

エチレングリコール
化学式:C2H4(OH)2
※水溶性
<特性>
〇無色の液体で無臭であり、燃焼時のガスは有毒ガスである。
〇水やエタノールなどに溶けるが、二硫化炭素、ベンゼンなどには溶けない。
〇水酸基(-OH)を2つ持つ2価のアルコールである。
〇粘度が高い。
〇甘みがある。
〇不凍液に使用される。
〇加熱しない限り引火する危険性は少ない。
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲vol(%) | 蒸気比重 |
111℃ | 198℃ | 398℃ | 1.1 | -12.3℃ | 3.2~15.3vol% | 2.1 |
<火災の予防方法>
〇蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
〇容器は密封して保存する。
〇火気を避け、加熱、加温を避ける。
<消火方法>
〇一般の泡消火剤ではなく、水溶性液体用泡消火剤を使用して窒息消火を行う。
グリセリン
化学式:C3H5(OH)3
※水溶性
<特性>
〇無色の液体であり、燃焼時のガスは有毒ガスである。
〇水やエタノールに溶けるが、二硫化炭素、ベンゼン、ガソリン、軽油などには溶けない。
〇水酸基(-OH)を3つ持つ3価のアルコールである。
〇粘度が高い。
〇甘みがある。
〇吸湿性がある。
〇ニトログリセリンの原料である。
〇加熱しない限り引火する危険性は少ない。
引火点(℃) | 沸点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | 融点(℃) | 燃焼範囲vol(%) | 蒸気比重 |
176℃ | 290℃ | 370℃ | 1.26 | 18℃ | 2.6~11.3vol% | 3.1 |
<火災の予防方法>
〇蒸気を溜めないように、通風、換気をよくする。
〇容器は密封して保存する。
〇火気を避け、加熱、加温を避ける。
<消火方法>
〇一般の泡消火剤ではなく、水溶性液体用泡消火剤を使用して窒息消火を行う。

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