
第7回目の対策講座の今回は、
の説明をしていきますので、よろしくお願いします。
目次
【静電気】とは?
静電気とは、静止した電荷によって引き起こされる物理現象のことを指します。(ちなみに逆に動いている電気は電流になります。)
一般に絶縁された2つの異なる物質が接触すると、下図のように正の電荷(+)と負の電荷(-)を帯びることにより静電気は発生します。
a'の方は-の電荷を取られ、+の電荷のみとなり、電気のバランスが悪く、静電気を帯びた状態となっている
b'の方は-の電荷を受取り、-の電荷が多い状態となったため、電気のバランスが悪く、静電気を帯びた状態となっている。
物質が電荷を帯びることを帯電(たいでん)といい、主に下の3つの種類があります。
①接触耐電(せっしょくたいでん)
⇨2つの異なる物質が接触した2つの物質間で電荷の移動(接触と剥離)が起こることで帯電する現象で、摩擦電気とも言います。
②流動帯電 (りゅうどうたいでん)
⇨容器内や管内を液体が流動する際に帯電する現象になります。
③噴出帯電 (ふんしゅつたいでん)
⇨液体が高速でノズルから噴出する際に帯電する現象になります。
※他にも破砕帯電/剥離帯電/沈降帯電/凍結帯電/誘導帯電もありますが、上記3つをまずは覚えておきましょう!
引火性の液体の運搬、詰め替え、給油などの取扱いを行う場合、上記のような帯電、または複合的な事象により静電気が発生し、蓄積されていきます。静電気を帯びているだけでは火災が発生しませんが、静電気が蓄積されて電流となって流れるときに火花が出ることがあります。この放電火花が発生すると、これが点火元になり火災が発生する原因となります。特に第4類の引火性液体は、静電気が発生しやすい危険物になりますので、特に注意が必要です。
静電気の発生しやすい条件とは?
①電気抵抗が大きい物質(絶縁体または不導体、不良導体)である場合
②液体が配管等を流れる場合(物質の流れる速さが速いほど発生しやすい。)
③湿度が低く、また乾燥している場合 (湿度20%以下、気温25度以下)
④衣類の素材で、毛、ウール、ナイロン、レーヨンなどの服を着用している場合 (とくに重ね着注意)
静電気の防止方法
①静電気が蓄積されるものと地面を導線で接続(ア-ス/接地)する。
⇨地に静電気を逃がすことにより、帯電を除去する。
※アース/接地できない場合は放電しやすい物体に帯電したものを接触させるだけでも効果はあります。
②室内の湿度を75%以上に上げる。
⇨空気中水分を通して逃げていく(放電する)ので、静電気の蓄積防止となる。
③ガソリン等(電気を通しにくい不導体)を給油するときは、給油ホースに導線などの金属、またカーボンブラックを巻き込んだゴムホース等の導電性材料を使用する。
⇨電気伝導率を大きくして静電気を逃がす。
④室内の空気をイオン化する。
⇨電気伝導率を大きくして静電気を逃がす。
⑤導電性塗料を塗ったり、添加剤を加える。
⇨静電気の蓄積防止となる。
⑥配管径を大きくすることにより流速を遅くする制限、静置するなどの緩和時間をおく。
⇨静電気の蓄積防止となる。※ガソリンなどの引火性栄気体の給油速度は決まっている。
⑦静電気の発生しにくい服(木綿など)を着る。
⇨静電気の蓄積防止となる。
静電気防止の要点 | |
摩擦・流速・流動 | ○接触面積を小さくする。 |
○接触圧力を低くする。 | |
○流速は遅くする | |
絶縁性 | ○電気伝導率を大きくして空気をイオン化する。 |
○アース(接地)を施す | |
湿度・水分 | ○湿度を75%以上にする。(湿度を高くする) |
○衣服は帯電防止加工のものにする。 |

下の講義内容も是非ご覧下さい!!
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